ストリングラフィー(Stringraphy)とは
  1992年、作曲家の水嶋一江によって考案されたオリジナル楽器とその演奏スタイルの総称であり、彼女によってネーミングされました。楽器でありながら、空間に張り巡らせた糸が美術作品のように印象的なので、糸を意味する“String”(“the strings”は弦楽器を意味します)と、図表、グラフィックアートの作品を意味する“Graphic”の2つの言葉を合わせたものです。

 このオリジナル楽器は、糸電話の原理を応用しており、絹糸の両端に紙コップを取りつけた非常にシンプルなものです。演奏者が手で擦ったりはじいたりして音を出し、演奏を行ないます。ピンと張られた絹糸は、一本ずつドレミファソラシドに調弦されています。1セット15本〜22本で、ソプラノ、アルト、ベースの3セットが基本となります。基本的に長調の音階にチューニングされていますが、曲によってはこのセットに半音階の『Stringraphy』がプラスされることもあります。
 糸の長さは一番短いもので約1m、長いものは約15mもあります。会場自体を巨大な弦楽器のようにセッティングすることもあり、その場合、観客はその楽器の内部で演奏を聴くことになります。

http://www.stringraphy.com/
水嶋一江プロフィール
水嶋一江
撮影:田村収
  1964年東京生まれ。桐朋学園大学作曲科卒業。1992年カリフォルニア大学作曲科修士課程修了。
 帰国後はアコースティックな数多くの実験的現代音楽の作品を発表。1992年にオリジナル楽器『ストリングラフィ』を考案し、八重樫みどりと共にスタジオ・イヴを結成。以来、『ストリングラフィ』を軸とした舞台作品を制作していましたが、1996年から『ストリングラフィ』アンサンブルを結成し、複数の奏者による演奏活動を行っています。